地域支援部だより 第3号
高等部では、1、2年生が秋に1回、3年生は春、秋の2回の実習を行っています。今回は、11月4日より現場実習を行いました。期間は、一般企業では3週間、福祉施設校内実習では1~2週間が目安となっていますが、実習先や本人の事情により変わります。 高等部の実習における目標としては以下の4項目があげられます。
<全体目標>
- 働く力や態度をより確かなものに発展させていく。
- 自分の適性や進路について関心を持ち、そのための課題を自覚する。
- 社会に出て働くことに関心を持ち、職場でのきまりや生産の仕組みを学ぶ。
- 卒業後の職場生活への移行を円滑にする。
働く力や意欲を養うとともに生活体験や職業体験の場を広げるために、生徒達は自分の目標をしっかりと念頭におきそれぞれの力を十分に発揮していました。特に、3年生とっては卒業後の進路先として考えるうえでも有意義な実習になったと思います。
<実習先、校内実習の作業提供先一覧>
一般 企業 |
福井市 | 福そば、(有)桑の井、(株)高岡、福井労働局、ハーツ学園店 マルキ建材(株)、(株)プラスチックス、福井リネンサービス(株) |
鯖江市 | (株)ヨシケイ福井、(株)小林農園、ヨシダ工業(株) 中村ライト工業(株) |
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永平寺町 | 特別養護老人ホームアニス松岡 | |
福祉 施設 |
福井市 | C・ネットふくい福井事業所、就労支援センターすだち、あおい わいわいポケット、セルプ梅の木、アクティ梅の木 足羽ワークセンター第2事業所、足羽サポートセンターかがやき げんきの家、校内実習 |
鯖江市 | 福授園神中事業所、福授園御幸事業所、福授園当田事業所 | |
越前市 | あいの里、ぴーぷるファン | |
校内 実習 |
本校 | 若林樹脂(有)、(株)太田屋 |
実習先の様子
◆校内実習(カツオパックの袋詰め、バリ取り)
◆福祉施設での実習
◆一般企業での実習
実習日誌から
生徒の感想
- シーツたたみをしました。昨日は座ってしまったけど、今日は座らなかったのでよかったです。緊張しました。(1年生)
- ビニールの製品を包む仕事をしました。テープをはりました。リフトで荷物を運びました。たくさん仕事をしました。力持ちになりました。(2年生)
- 品出しでは品物の場所がどこにあるかわかるようになってきました。賞味期限を見てきれいに並べることができました。(2年生)
- 去年の実習より落ち着きが出てきたこと、根昆布カットがうまくなったことが褒められました。しかし、シール貼りを1時間で400枚貼ったけど、「500枚貼れないと」と注意されました。(3年生一般企業)
保護者の方より
- 真剣に仕事に取り組む姿を見て頼もしく思いました。今日は2日目で、不安もなくなり少しずつ自信もついてきたようです。(1年生)
- 初めての実習で緊張したりしていると思いますが、だんだん慣れてきてほっとしています。働くことの大変さが分かってくれるとうれしいんですが・・・(1年生)
- 家では疲れた様子もなく元気に過ごしています。家族みんなにパンをプレゼントしてくれました。「お仕事行こうよ」と毎日やる気満々です。(2年生)
- 落ち着いた気持ちで毎日実習に取り組んでいるようです。立ち仕事は疲れることもなくまだまだ大丈夫です。(2年生)
- 仮ロー付けは難しいと言っていました。仕事はどんな作業でも誠意を込めて努力することがとても大切だと思います。明日もファイト!(3年生)
- 今回の実習は今までの中で一番いい状態だったような気がします。卒業してからもこうであってほしいと思います。今回も大変お世話になりありがとうございました。また、春からお世話になりますが、その時はよろしくお願いします。(3年生)
実習先より
- 今日はちょっと怪我をしてしまったようですね。慣れてくると一番怖いのは怪我です。とりあえず怪我はたいしたことないようなので、ホッとしています。あと一日一緒に頑張りましょう。(1年生一般企業)
- 今日は指示を出さなくても自分で仕事を見つけていました。いい傾向だと思います。これからも積極性を出していきましょう。(2年生一般企業)
- 作業にも慣れたのか出来高も上がってきました。休憩時間は他の利用者さんと会話をして、楽しそうに過ごされていました。(2年生福祉施設)
- 大きな声で挨拶をしています。作業が終わった時に「次は何をしましょうか」とスタッフに確認しています。(3年生一般企業)
10月30日(木)に福井障害者職業センターで職業ガイダンスが行われ、高等部2年生の一般就労を希望する生徒5名と保護者1名が参加しました。障害者職業カウンセラーの小日向毅さんから一般就労に向けて必要な心構えなどについて指導していただききました。
昨年度の養護学校高等部の一般就労の状況やジョブコーチ支援などについて説明を受けた後、ビデオを見ながら自分がやってみたい仕事を考えました。生徒たちは、ビデオで12種類の仕事を見て「やってみたい」「わからない」「やりたくない」のチェックをすることで、仕事について具体的に考える機会を持つことができました。
また、就職するためには、
- ○意欲がある→働く目的をしっかり持つ、つらいことがあっても乗り越えられる
- ○休まない、遅刻しない→規則正しい生活、健康な体つくりをする
- ○挨拶が自分からできる→家族に対しても挨拶をする、毎日の積み重ねが大切
- ○仕事がしっかりできる→作業の経験を積むには家の手伝いが大切、特に掃除ができると社会に出て役に立つ
といったことが大切になるそうです。
◆職業グループ全学年 10月1日(水)
- 公益センター(株)出作工場(鯖江市出作町)
高等部職業グループ12名が参加しました。公益センターでは空き缶や空き瓶、ペットボトルの分別作業をしています。夏は暑く、冬は寒い中で一生懸命働く姿を見て、皆仕事の厳しさを感じ取っていました。 見学後は学校に戻り、進路学習会を行いました。ハローワーク武生の本田忠夫さんより、就労に向けての心構えなどについて指導していただききました。
◆高等部作業グループ2年生 10月28日(木)
- 福授園 神中事業所(鯖江市神中町2丁目6番20号)
- 福授園 当田事業所(鯖江市当田町13字下半田1番1号)
- C・ネットふくい福井事業所(福井市南居町81-1-31)
- セルプ梅の木(福井県福井市篠尾町82-70-1 )
高等部作業グループ2年生7名が参加しました。神中事業所では眼鏡部品の袋詰めやノンハロ線のテープ巻きなど、当田事業所ではスポイトのバリ取り作業や墨汁キャップのふた締めなど、セルプ梅の木では園芸資材の組み合わせや軍手作りなど様々な作業を見学しました。プラザテクノパークでは住まいの場となる通勤寮も見学しました。自分たちが現場実習に行く予定の事業所もあるということで、真剣に見学したり積極的に質問したりしていました。
◆高等部作業グループ1年生 10月30日(火)
- わいわいポケット(福井市福町28-49)
- C・ネットふくい丹南事業所(福井市島寺町92)
- (株)プラスティックス(福井市南居町81-1-40)
- 福井リネンサービス(株)(福井市三尾野町29-2-15)
高等部作業グループ1年生6名と保護者4名、午後からは職業グループ1年生の3名も参加して行われました。わいわいポケットでは、パソコンの解体、衣類の検品など、障碍者労働福祉センター丹南事業所は、クッキー作りや園芸資材の組み立て、バット洗浄などの作業を行っていました。
午後からは、現場実習に向けてテクノパーク工業団地内の企業を見学しました。初めての実習ですが、見学や質問をすることで仕事のイメージが掴めたようです。
7月20日(日)に福井県立福井産業技術専門学院にて「第6回アビリンピック福井大会」が開催されました。会場には県下の特別支援学校や施設・企業から40名近い参加者がありました。本校からは喫茶サービス部門に5名、木工部門に4名の生徒が参加しました。作業学習の時間や放課後に練習して当日に臨みました。当日、開会式には多くの参加者がいて、緊張の中、競技がスタートしました。喫茶サービス部門では緊張のため声が小さく、動きも練習のように動けませんでしたが、最後までやり抜きました。木工部門では短い時間のうえに狭い机の上で完成させることで苦労しましたが、全員時間内に完成しました。その結果、喫茶サービス部門銀賞に川畑拓也さん、努力賞に山本智裕さん、木工部門銀賞に宮本剛さんが入賞しました。次年度は更に多くの生徒が参加できるように呼びかけていきたいと思います。
全国障害者技能競技大会の福井大会は、障害者が技能労働者として社会に参加できる自信と誇りが持てるようにその職業能力の向上を図るとともに、広く障害者の職業能力に対する社会の理解と認識を深め、その雇用の促進などをはかることを目的としています。福井大会は6年前から実施され、本校は第2回大会から喫茶サービス部門に参加し、木工部門には昨年度より参加しています。
8月に卒業生就労先訪問が行われました。その感想がOB地区委員の方から届きましたので、一部御紹介させていただきます。
- 仕事の内容としては簡単な軽作業だが、何時間もずっと同じ場所で立ったままの作業も大変な根気のいる仕事だなと感じた。
- 本人が「働かせてもらい、たくさんの仲間に助けてもらっている。」と自覚し、謙虚な様子がうかがえた。
- 職場で家族のように愛情をかけられて作業をしている様子に、経営者のご苦労を感じた。家庭環境による職場への影響を考えると、平素よりの家庭での指導がとても大切であり、保護者の考え方で子ども達の将来が大きく変えられることに、深く反省させられた。